【奇跡は何度も続かない】 Fire氏 ショウは走っていた。小学校からの帰り道、突如、謎のモビルスーツ部隊が来襲してきたのだった。 人々が逃げ惑う中、ショウだけは、みんなとは逆の方向に走っていた。 迎撃に出た連邦のモビルスーツが墜落したからだった。 墜落地点までたどり着くと、ショウはコックピットを調べた。 コックピットは開きっ放しになっていた。どうやら、墜落のショックでパイロットが放り出されたらしい。連邦のパイロットスーツを着た死体が地面に横たわっていた。 「こんな戦い・・・間違ってる!大人の都合で何もしないで殺されるなんて嫌だ!」 ショウはすぐさまコックピットに乗り込むと、モビルスーツの電源スイッチをオンにした。 偶然にも、これは母が設計を手掛けたガンダムとかいう新型の実験機だった。 以前、マニュアルを盗み読みしたことがあるので、大まかな操作方法はわかっている。 母も、まさか小学生のショウが盗み読みして理解できるなんて思ってもいなかったんだろう。 だが、自分は学校でもトップを争うモビルスーツオタクだ。 「システムチェック良し!シートベルト良し!レバーは・・・これか!」 初めて乗り込むとは思えないほどの手さばきでガンダム起動の準備を行っていく。 ショウの操縦に反応して、ガンダムはゆっくりと起きあがった。 「よし!僕だって・・・ガンダムくらい動かせるんだ!おまえらなんかの好きにさせるか!!」 起立が終わり、動き出そうとした瞬間―― 「あ・・・・・・・・・・・・・・・足がとどかない〜!?」 フットペダルに足がとどかなかった。 万人向けに設計されてない実験機に、パイロットの体型適正の考慮など、あるはずがなかった。 _| ̄|○自分の息子が乗り込むことくらい、考えといてくれよ・・・ママン!                 おしまい