【その男、ラナロウにつき】692氏  接近した三機が、まとわりつくように敵機の周囲を飛び回り、隙を見てはビームライフルやバルカンを浴びせる。I-フィールドや装甲に阻まれてダメージを与えることは出来ないが、そのことが逆に敵機のパイロットの癇に障ったらしい。敵機が、ビームを撃つのも忘れて蚊を追い払うように両腕を振り回し始めた。  その隙に、ギャプランが動き始める。敵機に向かって前進するのではなく、その頭上に向かって上昇し始めた。  「どうするの?」  「ま、黙って見てろって」  ラナロウがヘルメット越しにミリアムの頭を小突いた。ギャプランは少し前の下方に敵機を見下ろせる位置まで近付いていた。エルンストらの機体は、未だに敵機の周囲を飛び交っている。サエンなど、百式に手を叩かせて完全におちょくっているポーズだ。ミリアムは呆れて、  「何のつもりであんな動きをプログラムしてるのかしら」  と呟いてから、自機の位置を確認して、納得するように頷いた。  「そっか、敵の背後に回りこむつもりなのね」  敵機は今まで、後ろに向けてビームを発射していない。  「でも、I-フィールドが前方にだけ張り出されているって保証はどこにも」  「何ぶつぶつ言ってんだ、お前」  怪訝そうに、ラナロウが言う。  「俺は奴のケツにつけるつもりなんかねぇぜ」  「え……じゃあ、何をするつもりなの?」   「まあ見とけよ……あー……どうすんだったかな……」  ラナロウは顔をしかめて、コンソールに手を伸ばす。コンソールとラナロウの間にはミリアムがいるので、自然と抱きしめられるような体勢になった。ミリアムは顔を赤くする。  「ちょっと」  「うるせぇ黙ってろ、時間ねぇんだからよ……よし、これで……」  ぎこちない手つきでコンソールに指を這わせていたラナロウが、最後に隅っこの決定キーを力強く押し込んだ。それに呼応するように、コックピットに音楽が流れ始めた。  「え、なに!? バグッた!?」  ぎょっとして首を巡らすミリアムを横目に、ラナロウは音楽に合わせて体を揺らし出した。無闇にハイテンポで、攻撃的な音楽だ。メロディだけで、歌声はない。ただ、時折意味不明な打撃音やら悲鳴やら歓声やらが混じっている。ミリアムは眉根を寄せて、  「……これ、ひょっとして何かのBGM?」  ラナロウは嬉しそうに、  「おう。よく分かったな」  「ちなみに、何の?」  「格ゲーだよ、格ゲー」  「何それ」  「格闘ゲーム。何だお前、頭いいと思ったら案外物知らねぇんだな」  BGMの効果も相まってか、ラナロウはやたらと上機嫌だ。ミリアムはムッとしかけたが、すぐにハッとして、  「って、音楽鳴らしていい気分になってる場合じゃないわ! 早く何か行動を起こさないと……」  「それを今からやってやるって言ってんだよ……おい、お前ら!」  ラナロウが通信回線を開く。途端に、エルンストの非難が飛んできた。  「おいラナロウ、まだか! さすがにそろそろ」  「おう親父、待たせたな。今、そのデカブツをぶっ倒してやる。だから、お前ら全員でそいつをその場に押さえとけ」  「は? 押さえろって……」  「機体で腕に組み付けってことだよ」  「なんだと!?」  エルンストが目を見開いた。ラナロウは急かすように、  「さっさとやれ! でないとこっちに気付かれるだろうが」  「しかし」  「おっさんおっさん、もう諦めて従おうよ。こうなったらもうヤケクソってことで」  ヤケクソなどと言っている割には、どこか楽しそうなサエンである。エルンストは数瞬迷った後、  「……クソッ、こうなったら地獄までだって付き合ってやらぁ! おいシェルド、出来るか!?」  「な、何とかやってみます!」  ジム・カスタム高機動型のバーニアで逃げ回っていたシェルドが、まず敵機に接近し、その腕に組み付いた。サエンとエルンストも、隙を見てそれに続く。さすがの巨大MSといえども、MS三機に組み付かれては動きを封じられたも同然だった。その光景を見下ろしながら、ラナロウが犬歯をむき出しにして笑う。  「ふふん、お前らにしちゃ上出来だ。よくやった雑魚ども」  「いいから早くやれバカ!」  「任しとけ!」  ラナロウが操縦桿を握り直す。都合のいいタイミングで、コックピット内に流れるBGMも山場に突入した。耳をつんざく大音響の中、ミリアムは必死に声を張り上げる。  「敵の動きを押さえてもらったって、I-フィールドはまだ健在だし、ビームサーベルだってもうないでしょう!?」  「ヘッ、そんなもん無くたっていいんだよ」  「一体何をするつもりなのよ!」  ミリアムが悲鳴のような叫び声を上げる。返答は一言、  「蹴り飛ばすんだよ」  「……へ?」  予想だにしない言葉に、ミリアムが目を丸くする。ラナロウはそんなことはお構いなしに操縦桿を操り、ペダルを思い切り踏み込んだ。   静止していたギャプランが、敵機に向かって右足を突き出した。後部のバーニアが焔を噴き出し、ギャプランは敵機に向かって一直線に降下し始めた。スクリーンに映る敵機の巨体が、ぐんぐん迫ってくる。ラナロウの獣じみた咆哮と、ミリアムの絶叫が重なった。敵機がようやく気付いたように、双眸をこちらに向けてくる。しかし、とき既に遅し。  「うらぁ!」  ラナロウの雄たけびと共に、ギャプランのつま先が敵機のカメラ・アイを突き破った。コックピット内に流れるBGMに、けたたましい警報が加わる。ミリアムの全身を衝撃が突き抜けた。ギャプランは右足のつま先を引き抜くと、今度は左足を垂直に上げ、敵機の頭頂部にかかと落としを喰らわせた。モニターに「2COMBO」の文字が現れる。  「な、何なのこれぇ!? 何がどおなってるのぉ!?」  涙目でラナロウにしがみつきながら、ミリアムが叫ぶ。ラナロウはアドレナリン全開の物騒な笑みを浮かべながら、  「格ゲーモード!」  「はぁ!?」  「ミンミに無理言ってつけさせたんだよ!」  「何よそれぇ!?」  説明している間にも、ギャプランは様々なモーションで敵機に打撃を与え続けていく。回し蹴り、左手での殴打、膝蹴り、頭突き……最早MSの動きではない。敵機の装甲が見る見るうちにへこみ、壊され、無残な姿をさらしていく。しかし、攻撃側であるはずのギャプランも、敵機を殴ったり蹴ったりする度に装甲が吹き飛び、所々から火花を散らしていた。「COMBO32!」という合成音と共に、機体の深刻なダメージを示す警報が気が狂ったように鳴り響き、コックピット内が赤い警戒色に塗りつぶされる。  「ハハハハハハッ! やっぱ無抵抗の奴を思う存分殴るのが一番面白ぇなぁ!」  「いやぁぁぁぁ! 夢なら覚めてぇぇぇ!」  興奮の絶頂に達しているラナロウと、泣き喚くミリアムの声も知らぬ気に、合成音は「COMBO33!」と新記録達成を宣言した。  その光景は、もちろんダミー隕石に隠れて監視していた彼女らにも見えていた。  「な、な、な……」  彼女は食い入るようにモニターを見つめていたかと思うと、わなわなと唇を震わせ、  「何て非常識な!」  「や、野蛮だねぇ」  さすがに、少年の方も余裕の笑みが大分に引きつっていた。少女のほうはあっけらかんとしたもので、  「凄いねぇ。モビルスーツってあんな使い方もあるんだ」  「ないよ!」  少年が間髪いれずに返す。少女はむき出しの肩を竦め、  「そんな怒んなくてもいいじゃない。あたい、せっかちな男は嫌いだな」  「あんたに好かれたくなんかない!」  「ムキになっちゃって……そんなに照れなくてもいいのに」  「照れてなんかない!」  少年はそばかすの浮いた顔を真っ赤にして怒鳴り返す。野太い声がコックピットに響いたのは、その直後だった。  「……ほう」  感心したような、低い響き。他の三人が一斉に押し黙った。コックピットの一番後ろの席に身を横たえていた、右目に眼帯をした男がのっそりと起き上がったところだった。  「なかなか、面白いことをする」  男は、そう言って顎に手を当てる。不機嫌そうな口調ではない。しかし、それでも男以外の三人の間には紛れもない緊張感が流れていた。三人は、無言で俯き、男と目を合わせないようにしていたが、  「……例のものの準備は?」  やがて彼女が、極力男の方を見ないようにして、少年に問いかけた。  「え……あ、ああ、今、完了したところさ」  少年もまた、男の方を見ないようにしながら、慌てて答える。  「なら、早くやっちゃおうよ。さっさとしないとサイコガンダムが壊されちゃうよ」  「言われなくても」  茶化すような少女の言葉に、少年が手元のコンソールを操作し始める。  彼らが慌しく動いていることなど全く気にも留めないかのように、眼帯の男は格闘戦を続けているギャプランを、じっと見つめていた。  「……ったく、無茶苦茶やりやがる……!」  敵機の左腕にしがみついているEz−8の中で、エルンストは舌打ちした。何せ無重力の宇宙空間だから、ラナロウが言ったとおり敵機を同じ位置に固定しておくことがかなり難しいのである。  「なんつーか、チンピラ集団の下っ端になった気分だねこれは」  左腕を押さえているサエンが苦笑混じりに話す。エルンスト自身、顔をしかめながらも瞳にはどこか楽しげな色が浮かんでいる。  「にしても」  エルンストは、敵機の頭部付近に目を向ける。ギャプランは、左腕部が半壊していることなど気にもせず、ひたすら敵機を殴り続けていた。エルンストは呆れて、  「MSで殴るなんて真似するのは、クレアぐらいのもんだと思ってたがな」  「なんだって?」  小さな呟きに、サエンがめざとく反応する。  「こっちの話だ」  エルンストがそう言って手を振ったとき、不意に誰かの声が聞こえてきた。  「どこだ……」  「なに?」  エルンストは思わず周囲を見回す。そしてそれが、装甲越しに接触している、敵機のパイロットの声であることに気付いた。いわゆる「お肌の触れ合い回線」である。エルンストは耳を澄ました。  「どこだ、どこなんだ……お前はどこにいるんだ……」  敵機のパイロットらしき声が、虚ろに響く。  「殴られて、錯乱してるのか? だが……何だ、この声……聞き覚えがある?」  エルンストは目を閉じ、必死に記憶を探った。闇の向こうに、誰かの影が見えた。その時、  「どこなんだ……なあ、答えてくれよ、マリア……」  「マリア!? うわっ」  エルンストが驚いて顔を上げた瞬間、コックピットが大きく揺れた。位置調整するのを忘れたため、ギャプランが敵機を蹴り飛ばした振動がEz-8にも伝わってきたのである。  「何やってんだよ」  ラナロウが不機嫌そうに言ってくる。サエンが苦笑して、  「怒るなよ。このでっかいのを押さえておくの、結構難しいんだよ」  「そろそろ終わらせてくれた方が、こっちとしては有難いんだけど」  提案するシェルドの声には疲労がありありと滲み出ていた。ラナロウは少し不満げに、  「チッ、仕方ねぇな……だったら、次で超必殺技を決めてやるか」  「あくまでも格ゲーにこだわるのな」  肩を竦めるサエンのことなど無視して、ギャプランが右足を大きく振り上げた。エルンストは慌てて、  「ちょっと待て、こいつは……」  言いかけた瞬間、今まさに足を振り下ろそうとしていたギャプランの動きが、ぴたりと止まった。  「なに……?」  エルンストが呆気に取られたとき、Ez-8のモニターに「ERROR!」という赤い文字が現れた。エルンストが眉をひそめてコンソールに指を伸ばした瞬間、「ERROR!」の文字が増大して、モニターを埋め尽くした。  「何だ!?」  慌てて操縦桿を動かすが、機体は完全に操作不能となっていた。エルンストは舌打ちを漏らす。  「ウイルスか!」  MSというのは当然ながらコンピューターで制御されているから、コンピューターウイルスによって機体に誤作動を起こさせるというのは非常に有効な手段である。だが、無論アンチ・ウイルスプログラムも組み込まれているため、機体を一挙に操作不能にすることなど、まず無理な話のはずだが。  「動け、動け!」  エルンストはでたらめにコンソールをいじったが、機体は全く反応しなかった。そうこうしている内に、「ERROR!」で埋め尽くされたモニターの片隅で、小隕石が一つ、弾けとんだ。その中から、異様なほどに頭部が大きなMSが一機、姿を現す。  「偵察用の機体……あいつの仕業か!」  その機体は急速にこちらに接近してくると、巨大MSを押さえ込んでいる三機を引き剥がし始めた。攻撃してくる素振りは全くない。それどころか、どこか急いでいるようでもあった。ほとんど数秒の間にその作業は完了し、偵察機は破損した巨大MSを引き連れて飛び去っていく。  「クソッ、待ちやがれ!」  怒鳴りながら、エルンストは操縦桿を動かした。システムの復旧は既に始まっているようだったが、機体を操作できるほどには回復していない。そうこうしている内に、敵機の機影は完全に見えなくなってしまった。  「チクショウ、このポンコツが!」  エルンストは悔し紛れにコンソールを叩いたが、それでMSが動き出すはずもない。  「どういうことだ……」  敵機が飛び去っていった方向を見つめて、エルンストは歯を噛み締める。  「お前は……死んだはずじゃなかったのか、ビリー……」  「ああ、危なかった。一時はどうなることかと思ったよ」  偵察機のコックピットの中、少女が安堵した様子でにっこりと微笑む。少年は余裕しゃくしゃくに髪をかき上げ、  「ふふん、ま、この僕のすること、上手くいかないはずがないんですよ」  「そうだねぇ。やっぱ君はすごいよ。あたいなんかとは出来が違うんだね」  少女の手放しの賞賛に、少年は鼻高々に胸を張る。  「はは、そんな当たり前のことを言ってもらっても困りますね。僕とあなたじゃそもそも生まれが違うんですから。ま、もっとも」  と、少年はチラリと彼女を見る。  「僕と同じ存在とされながら、何の役にも立たない人もいる訳ですけど」  反応はない。少年はムッとして、  「聞いてるんですか?」  「……何か、言いましたか?」  彼女はぼんやりとしていたようだった。いちいち繰り返す気にもなれないらしく、少年は肩を竦める。  「ふん、これでコーディネイターだって言うんだから」  彼女はやはり反応せず、自分たちが退避してきた方向をじっと見つめていた。  そんな彼らの会話には加わらず、眼帯の男は状況に興味を失くした様子で、再び身を横たえている。サイコガンダムのパイロットも、不気味な沈黙を保っていた。広いコックピットには、少年が得意満面で自分の能力を語る声だけが響いている。そんな、周囲の状況など見えていないかのように、彼女はじっと宇宙の彼方を見つめている。  「……私からの贈り物、是非とも受け取ってほしいもの……」  彼女はかすかに微笑んだ。  「久しぶりにお会いできるんですもの……そうでしょう? 親愛なるネリィ姉さま……」  どこか、薄暗い笑みだった。  「あー! あのウドの大木が! 今度会ったら速攻ぶっ壊してやる!」  「ちょっと、静かにして! あなたが無茶した分、システムにかなり異常が出てるんだから!」  「うるせぇ、そんなもん三秒で直せ!」  「バカなこと言わないでよ、バカ!」  「あんだと!?」  シェルドは、通信回線越しにラナロウの喚き声と、ミリアムが怒鳴り返す声を聞いていた。  「何か、随分仲良くなりましたよねあの二人……」  通信回線を開いたまま、呟く。しかし、サエンからもエルンストからも、返事が無かった。  「……何かありました、エルンストさん?」  「……あ? 悪ぃ、聞いてなかった」  「いえ、別に重要なことじゃないからいいんですけど」  エルンストは、先ほどから何かを考え込んでいる様子だった。シェルドは困惑しながら、  「それに、サエンも」  「……ん? ああ、悪い。ちょっとエリスちゃんのこと考えててさぁ」  いつも通りの軽薄な声に、シェルドは何故か顔をしかめた。  「いちいちそんなことまで言わなくてもいいよ」  サエンは面食らった顔で、  「何でそんな怒ってるんだ、シェルド?」  「怒る? 僕が?」  言われたシェルドの方が、逆にきょとんとした。  「どうして?」  「俺に聞かれても困る」  「それはそうだけど」  「しかし、何だな。シェルドの怒った声聞くってのも珍しいな」  「え」  「呆れてるところはよく見るけど」  「……そうかな?」  シェルドは首を傾げた。サエンはにやにやしながら、  「はっはーん。さては、俺がエリスちゃんを狙ってるのが気に入らないんだな?」  「……エリスを? 僕が? そんな訳ないだろ」  シェルドの声がまた不機嫌になった。サエンは嬉しそうに、  「ほらやっぱり! 何だよ、お前もエリスちゃん派かよ」  「派って何だよ。別に僕はそんな」  「じゃあ何で怒ったのかな? ん?」  「そんなの、勝手に決め付けられたら怒るだろ、普通」  シェルドは分かりやすいぐらいにムキになっていた。サエンは「んー、青春だねぇ」などと、しばらくにやついていたが、不意に、  「……でもな、悪いことは言わないから、エリスちゃんは止めといた方がいいぞ」  シェルドは驚いて顔を上げた。サエンはいつになく真面目な顔をしていた。  「何で?」  「ん……まあ、いろいろあるけどな。俺から言えることは、見込みがないってことだけさ」  それ以上、サエンは何も言わずに、シェルドから目を逸らした。その顔から、それ以上の追及を許さない雰囲気が漂っていた。  「……何だよ、言うだけ言って……」  シェルドは拗ねたように呟き、やはりモニターに映っているサエンから目を逸らす。  「あれ?」  そして、モニターの片隅に、何か小さな物が浮かんでいるのを発見した。おそらく、手の平サイズの物体だ。目に付いたのは、それがわずかに発光していたからだ。  「何だろう?」  シェルドはゆっくりと機体を近づけ、コックピットハッチを開き、手を伸ばした。それは、筒状の物体だった。やはり手の平に収まるサイズで、側面部分に文字が刻まれていた。  「……親愛なるネリィへ?」  シェルドは無意識の内に、先ほどの偵察機が去っていた方向を見ていた。物体には小さなライトがつけられていた。誰かに拾ってほしかったのは、間違いないだろう。  「シェルド、ギャプランの応急修理が終わったってさ」  「何とか自力で動けるらしい。このままコロニーに戻るぞ」  サエンとエルンストから通信が入った。シェルドは「はい」と頷き、機体を仲間たちの方へと移動させ始めた。その途中、もう一度さっきの方向を見て、  「知り合い、だったのかな」  小さく呟いた。